『The Christmas Alphabet』絵本の色5…トーンの話
2006.12.23
【『The Christmas Alphabet』絵本の色5…トーンの話】
6月に入り、衣替えの季節ですね。
今日の話題は 思いっきり季節はずれというか、半年早い話題というか。
色を語る上でどうしてもご紹介しておきたいのがロバート・サブダのしかけ絵本。写真は洋書ですが日本語版も出ています。
この本は白いページにAからZまで「色の扉」が並んでいて、扉を開くとクリスマスにまつわる様々なものが飛び出してきます!
クリスマスといえば「ビビッドな赤」に「ディープな色調の緑」という印象を持っているのは私だけではないと思うのですが……この絵本の色は、俗にいうクリスマスカラーよりも優しく柔らかい色で構成されています。
PCCS(日本色研配色体系)のトーン区分で言うならば、ブライトトーンからライトトーンといったところでしょうか?
色彩学の世界では「色相(色みの違い)」「明度(明るさ暗さの度合い)」「彩度(色の鮮やかさの度合い)」という三つの「ものさし」で色を表すことになっていますが、このうち明度と彩度を合わせた概念を色調(トーン)といいます。
私も最初に習った時は「これってなんの役に立つの??」と正直疑問でした。
ところが、仕事をするようになってから気づいてしまったのです。
「この案、もっとぱぁーっと覇気のある感じにならないかな?」
「…いやいや、やっぱり渋い感じも良いかなぁ。ねえ桜井さんどう思う?なんかいい色ない?」
色をご提案する場面では、クライアントが必ずしも色に詳しいわけではありませんので、イメージワードでやりとりをすることも多いのです。
お客様の口から出てくる「イメージワード」を頭の中で「色」に翻訳する!(ちょっとカッコ良すぎですかぁ?)
その時こそ、トーンの概念を思い出してください。
これ、いろいろな場面で結構役に立ちます!
※本の情報
・原書『The Christmas Alphabet』(Robert Sabuda/Produced by WHITE HEAT LTD.)
・日本語版『クリスマス・アルファベット 新装版 めくりしかけえほん』(ロバート・サブダ著/きたむらまさお訳)
※写真は旧版なので表紙が赤ですが、現在は新装版が出ていてディープな緑色になっています。(新装版になっても表紙だけは典型的なクリスマスカラーです♪)