おめでたい色3【焦茶色(こげちゃいろ)】伝統色×家紋
2007.01.15
おめでたい色3【焦茶色(こげちゃいろ)】伝統色×家紋のグリーティングカード
【焦茶色(こげちゃいろ)】
ひと口に「茶色」といってもその範囲は広く、赤みの強いものから黄みの強いもの、明るいものから暗いものまで、さまざまな色調が含まれます。
そもそも「茶色」とは、室町時代末期ごろから行われていた茶染め(お茶の葉を用いた染色)がそのルーツです。江戸時代に入り、煎茶が人々の間に広く普及したことを受けて「茶色」という色名が確立されました。江戸中期には俗に「四十八茶百鼠(しじゅうはっちゃ ひゃくねず)」といわれるほど、さまざまな茶色と灰色が登場し、粋(いき)な色として流行しました。
中でも歌舞伎の人気役者は、今で言う有名タレントのような存在で、彼らが身に付けた衣装には茶系の色が大いに活用され、それが流行色となりました。
例えば、成田屋(市川家)のシンボルとしての「團十郎茶(だんじゅうろうちゃ)」は柿渋と弁柄で染めた赤茶色。濱村屋の二代目・瀬川菊之丞(その当時、最高の女形といわれた役者)が着用した衣装は「路考茶(ろこうちゃ)」で、これは渋い緑みの茶色でした。
成田屋公式Webサイト【「暫(しばらく)」で市川團十郎が身に付けている衣装が団十郎茶です】
焦茶色は文字通り「茶が焦げたような色」。つまり、明度の低い茶をあらわす色です。茶色はどっしりとした大地の色・土の色。安定感や安心感を感じさせてくれるという意味でおめでたい色の中に入れさせていただきました。
また今年の干支は猪。非常にめずらしい猪の家紋に焦茶色を組み合わせ、グリーティングカード・ポストカードとしました。
【家紋について】
グリーティングカード・ポストカード共通:丸に猪
日本の家紋は、いったいどのくらいの種類があるのでしょうか。苗字・家紋の研究家である丹羽基二氏の調査によると、約2万種類とされています。
その中でも「猪」の文様は非常に珍しく、梅や桜のように多くのバリエーションは存在しないようです。それにしてもこの猪紋、勢いや躍動感を感じませんか? 「猪突猛進」という言葉を思い出させますね。