おめでたい色10【茜色(あかねいろ)】伝統色×家紋
2007.02.27
おめでたい色10【茜色(あかねいろ)】伝統色×家紋のグリーティングカード
※年明けから連載させていただいた「おめでたい色」シリーズは、今回の茜色で最後です。
※次回からは新しいテーマでコラムを連載予定です。
【茜色(あかねいろ)】
赤を染める染料の中で、日本において最も古くから使われていたのが茜草です。茜草の根から採れる赤色染料で染めた、わずかに黄みのある深い赤のことを茜色といいます。
「あかねさす」という言葉は「紫・日・照る」などにかかる枕詞として、皆さんも習ったことがあるのではないでしょうか。
あかねさす 紫野行き標野行き 野守は見ずや君が袖振る(額田 王/『万葉集』巻一)
実はこの茜草、漢方では止血剤・解熱剤として古くから用いられてきましたし、世界的に見ても藍とともに「人類最古の染料」です。インダス文明の遺跡から出土した「茜染めの木綿」が最も古い茜染めとして知られています。
※緋色とよばれる色も、もとは茜で染めた色のことをさしたのですが、時代を経るにつれて支子(くちなし)で黄色に下染めしたものに蘇芳(すおう)の赤色を重ねて緋色を得るようになったため、今回のカードにおいては、茜色と緋色は区別して別々のカードにさせて頂いています。
※緋色のカードは春の10色の中に入っています。近いうちにこちらのコラムでご紹介させて頂く予定です。
【家紋について】
グリーティングカード:雁木檜扇
ポストカード:(左上&右下)石持ち地抜き檜扇/(右上&左下)中輪に覗き唐花
扇は末広がりに開くことから、「運を開く縁起の良いもの」として家紋にも取り入れられました。また、古代は扇に「神が宿る」と考えられており、扇を身に付けることが厄除けにもつながっていたようです。勝利を祈念するという意味合いで、武将にも人気がありました。扇紋にはさまざまな種類がありますが、今回用いたのは檜扇(ひおうぎ)で、これは平安の雅(みやび)を今に伝える、風情ある扇紋のひとつです。
ポストカードに用いたのは唐花(からはな)紋で、これはあの有名な唐草模様とともに中国から伝来した文様なのです。唐花の文様は正倉院宝物の中にも多く見られます。
ところで、唐草模様といえば皆さんの連想はやっぱり泥棒でしょうか(笑)
この唐草模様も実はとても縁起の良いものでして。意外でしょうか??
唐草(蔓植物)はいろいろなところに絡みつき、どこまでも枝葉を伸ばしていくことから、強い生命力・長寿・子孫繁栄の象徴とされていたのですよ。