【東京色彩散歩】南青山・紅ミュージアム…株式会社 伊勢半本店
2007.11.22
【東京色彩散歩】南青山・紅ミュージアム…株式会社 伊勢半本店
〈画像左〉紅染めの淡色から濃色まで。何度も染めの工程を重ねて深い赤になっていきます。
〈画像中央〉有田焼のお猪口に刷かれた本物の紅。これを水で溶いて塗ります。このお猪口ひとつで約2,000輪もの紅花が使われているそうです。驚き!
〈画像右〉定番商品としての器は、春(さくら)・夏(しゃくなげ)・秋(きく)・冬(寒つばき)の4種類。
自ら主宰している「色彩勉強会」には、プロのカラーコーディネーターとしてご活躍中の方・学校の先生・主婦など、年代も環境もさまざまな方がご参加くださっています。
普段は会議室の中でその日のテーマに沿った研究をするのですが、時々気分転換も兼ね「郊外学習」と銘打って皆で遊びに行きます。
つい先日は、青山界隈でいくつかの場所を回りました。
中でもすばらしかったのは、こちら『紅ミュージアム』。
株式会社伊勢半本店プロデュースの紅の博物館です。
中はサロンと資料室に分かれており、サロンでは本物の紅をさす体験ができます。当日は参加者全員が本物の口紅を体験をしたのですが・・・あら不思議。同じものをつけているはずなのに、一人一人の持って生まれた唇の色素によって発色が異なるんです。
サロンのスタッフの方から、とても興味深いお話を伺いました。
日本の赤といえば「紅」で、紅花からほんのわずかしか抽出できない大変貴重なもの。その色は暖かみを帯びている。一方西洋の赤といえば「コチニール」(貝殻虫から抽出される動物性染料)で、その色は青みを帯びている。
う〜ん、なるほど。
日本人の肌色は大まかに見れば、西洋人と比較して暖かみ(黄み)が強い。だからこそ、紅の赤というのは自然と日本人の肌に馴染みやすいのかもしれません。
紅は有田焼のお猪口の内側に刷かれていて、これを水でしめらせた紅筆に取り口紅として使いますが、器の中では「えっ、これが紅?」とびっくりするような、緑みの強い玉虫色に輝いているんです!
本当に上等な紅は、このように玉虫色に輝くのだそうです。(中央の画像でお分かりいただけますでしょうか?)
唇に色濃く紅をさせば、赤みの中に玉虫色の輝きが生まれます。玉虫色に輝くほどの贅沢な紅使いは「笹紅(ささべに)」と呼ばれ、江戸時代の女性の間では「ステイタスを象徴する憧れの色」だったのです。なぜなら、紅は当時の金に匹敵するほど高価なものだったので、裕福な女性や花魁だけが「笹紅」をつける事ができたから。
サロンでは紅花茶とお菓子(紅色素で色づけした、ほんのりピンクのお干菓子)もごちそうになり、紅づくしのすばらしい体験をさせて頂きました。
伊勢半本店HP
◆◆2007,11,25追記◆◆
こちらのコラムを読んで下さった方から、以下の情報を教えて頂きました。
伊勢半本店 紅匠・川西さんの作る「ココロを動かす日本の色」
BS朝日 特別番組「Color is Magic.」
第五話「自然界から取り出された、究極の赤。」WEB動画で見られます。
ソニーのブラビアのCMです。5分の番組ですが「スゴイ!」の一言です。
すでにご存知かも知れませんが是非ご覧下さい。感動モノです!私は何度も見ました♪
Color is Magic 第五話「自然界から取り出された、究極の赤。」
◆◆2011,7,10追記◆◆
久しぶりに上記番組を見ようと致しましたところ、
動画のほうは、ご覧頂くことができなくなっておりました。