不思議なコマ
2008.07.20
不思議なコマ
今日ご紹介するのは二つのコマ。株式会社島津製作所の名前が入った紙箱の中に、イラスト入りの解説書とともに収められていました。
箱の左側に入っているカラフルなコマの名前は『ニュートンの七色ゴマ』、右の白黒パターンのものは『ベンハムのコマ』(色彩検定のテキストではベンハムトップと呼ばれているもの)
『ニュートンの七色ゴマ』は、その名のとおり赤〜紫までの色が付いています。これを回してみたのが中央の画像です。さまざまな色は消え、灰色一色に見えています!
ニュートンは一般的に万有引力の法則で有名ですが、色彩の世界ではむしろ、スペクトル(虹の七色)を発見した人物として知られています。1666年、ニュートンはプリズムを使って自然光(白色光)を虹の七色に分光し、さらに、その分光した光をすべて集め、もとの白色光に戻す実験に成功しました。つまり、虹の七色がすべて合わさると光の場合は白色に、色料なら灰色になるというわけです。
一方、『ペンハムのコマ』には白黒の模様が印刷されているだけなのですが、これを回してみると…色が付いていないはずのコマの表面が部分的に色づいて感じられます。
コマを回した時に観察できる色は、人間の網膜を通し、視神経に反復する刺激を与えることにより生じる感覚の一種で「主観色」と呼ばれます。(物理的な色ではないので、残念ながら画像として撮ることができません)
添付されていた説明書に、こんな一節がありました。
(以下、説明書より一部抜粋)
「ベンハムのコマをご覧下さい。表面白黒であってもこれを回すと色彩が出てきます。ものごとを判断するときに、単に表面だけを見て直感で判断することは大きな間違いを生じるもので、角度を変えて慎重に検討してこそ初めて正しい結論が得られるということをわれわれに教えてくれているかのようです。」
「ニュートンの七色ゴマをご覧下さい。ものごとには種々の現象が表面的にはあるが、その中に一つの真理が通っている。ということを学びとることができるかもしれません。
会議などで議論がこじれて進まないようなとき、このおもちゃは役に立ちます。ちょうどよい気分転換の機会をつくり、考え方の角度を変える一つのきっかけを与えてくれるでしょう。」
…う〜ん。なるほど。会社のノベルティとして配布したのは、そういうコンセプトだったのですね。
画像右には少しパターンの違う、木でできたペンハムトップをご紹介しています。こちらは子どものおもちゃとして作られたものです。フランスのおもちゃメーカーが販売しているようで、コマの裏側にはフランス語で説明が。こちらは、私の事を良く知る仲間が見つけて買ってきてくれたものです。
私の頭の中では「ベンハムトップ→主観色→AFT色彩検定2級の出題範囲」という思考回路が出来上がっていましたので、子どものおもちゃとして販売されているなんて、新鮮な驚きです!
まさしく「考え方の角度を変える」一つのきっかけになりました。