見直してみませんか、美しい日本の色〜かさねの色目
2012.01.01
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新しい年が始まりました。
皆さまにとって、より良い一年なりますように。
東京カラーズでは、
本年も「色(カラー)」にこだわった楽しいコラムを綴って参ります。
どうぞ宜しくお願い申し上げます。
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本日のコラムは平安時代のかさね色に関するもの。
画像はいずれも吉岡幸雄氏の展示会に出向いた時のものです。
その昔、日本人が身にまとっていた衣の色は
植物からいただいた「天然染料」によるものでした。
庶民は樹皮や木の実など、
どこでも手に入る材料によって染めた【にぶい色や薄い色】の着物を着用し、
身分の高い人々は、希少な材料を使って
何度も何度も…気の遠くなるくらい染め重ねた【鮮やかな色】の着物を着用しました。
先日(2011年12月20日〜25日)、
日本橋高島屋ギャラリーにて開催された展覧会
「王朝のかさね色〜染色家・吉岡幸雄の仕事」は、
平安時代の貴族が【どのようなルールでどのような色を用いてきたのか】を
現代に再現したものでした。
平安貴族の着物といえば十二単(じゅうにひとえ)が有名ですが、
これは美しく染めた絹の衣を、大きさを少しずつ変えて仕立てることによって
襟元(えりもと)・袖(そで)・裾(すそ)に美しい配色が現れるようにしたものです。
「かさねの色目(いろめ)」と呼ばれることもあります。
貴族として生まれた者の当然のたしなみとして、
それぞれの季節に応じた色目、
すなわち配色を身にまとうことが求められました。
もし、季節と合わないちぐはぐな配色の衣を身に着けていようものなら、
「あの人って、常識知らずよね〜」(現代風に言うならば)
などと非難される世界だったようです。
今回の展示会は「薄様色目(うすよういろめ)」と呼ばれる
手紙やそれを包む和紙の配色が中心でしたが、
それぞれの配色に、自然の移ろいを彷彿とさせるような
独自の名前が付けられていることに、改めて感銘を受けました。
たとえば春には春の色目があり、
「紅桜(べにざくら)」「萌黄(もえぎ)」「花山吹(はなやまぶき)」
などという配色があります。
自然界に色が乏しくなる冬でさえ
「初雪(はつゆき)」「松の雪(まつのゆき)」「氷色(こおりいろ)」
と呼ばれる配色が存在していたのです。
大切にしたい文化のひとつですね。
いつもお読み頂き感謝しています。
ありがとうございます。