色名辞典詳細
ボルドー
【Bordeaux】ボルドーはフランスの南西部に位置するジロンド地方の都市の名前です。古くからワインの産地として知られ、その暗い赤紫色は19世紀には色名として、ワインの代名詞となりました。ボルドー産の赤ワインに使用されるブドウは適度な酸味と甘みが溶け合い、その繊細な味わいから「ワインの女王」と称されるほどです。ワインの産地に由来する色名には、この他にもバーガンディ(Burgundy)があります。バーガンディーはフランス南東部の地方であるブルゴーニュ(Bourgogne)の英語表記で、ボルドーよりもさらに暗い赤紫色です。
デルフトブルー
【Delft Blue】デルフトは陶磁器の産地として世界的に有名なオランダの都市です。古くヨーロッパでは、中国産の陶磁器が宝石と同じぐらいの価値があり、「チャイナ」が陶磁器類の代名詞となったくらい、その品質や技術はすばらしいものでした。18世紀初め、デルフトでは中国産陶磁器を模倣して独特の色合いを作り出すことに成功し、多くの手書き色彩陶磁器が産出されました。濃い青の色調が多かったことからこの色名が付けられました。
ポンペイアンレッド
【Pompeian Red】紀元前4世紀以来、繁栄を誇っていた古代都市ポンペイは、紀元79年にヴェスヴィアス火山の大噴火によって埋没しました。18世紀以降の発掘調査によって、古代貴族の邸宅跡から色鮮やかな赤をふんだんに使った壁画が発掘され、その大胆な表現が当時の人々を驚かせたそうです。この色名が登場したのは1882年のことで、メトロポリタン美術館に復元されたフレスコ画の赤からとられたといわれています。
ネープルスイエロー
【Naples Yellow】ナポリにあるヴェスヴィアス火山の鉱物から作られたといわれていたため「ナポリの黄色」という英語の色名が付けられました。それ以前はイタリア語の「ジャロリーノ」の色名で呼ばれていて、クロームやカドミウムの黄色が出現する前は代表的な黄色絵の具でした。ルネッサンス期のイタリアでは多くの画家がこの絵の具を使っていました。
マゼンタ
【Magenta】印刷のインキや染料、カラー写真などの3原色の一つで、現代の色再現技術にはなくてはならない色です。この色名はなんとイタリア北部の都市Magenta(マジェンタ)に由来しています。19世紀半ば、北イタリアはオーストリアに支配されており、イタリア統一を目指していたサルディニア連合軍はマジェンタの戦いでオーストリア軍を破りました。時を同じくしてこの鮮やかな赤紫色のアニリン染料が発見されたことから、戦勝地であるマジェンタにちなんでこの色名が付けられたそうです。
モロッコ
【Morocco】モロッコ特産のモロッコ皮から由来した色名です。山羊の皮をタンニンでなめした革が西洋人に珍重され、その色が独特の赤褐色だったことからモロッコ赤として広まったそうです
インディアンイエロー
【Indian Yellow】文字通りインドの黄色という意味で、インドからヨーロッパに伝わった黄色絵の具です。何よりもその製法が変わっていて、牛にマンゴーの葉を食べさせ、その尿を蒸発させて非溶解性の尿酸マグネシウム塩をとり、それを精製して顔料としたそうです。このような奇抜な顔料製法はほかに例がないといわれています。今でもこの色名は使われていますが、絵の具は牛の尿ではなく有機顔料で作られています。
エジプシアンブルー
【Egyptian Blue】古代エジプトの都の名前からとったアレキサンドリアブルーという色名が、のちにエジプシアンブルーと呼ばれるようになりました。この顔料は石英(せきえい)とアルカリを加えた銅化合物を溶解して作られ、古代エジプトでは壁画などによくこの色が用いられました。現在も昔のままの製法で絵の具として製造されているそうです。
インディアンレッド
【Indian Red】インドの北東部、ガンジス川下流地帯のベンガル地方では良質の赤土が多く産出され、この赤土を原料とした赤褐色顔料が各国に渡り、このような色名で呼ばれるようになりました。日本では戦国時代から江戸時代にかけて広まり、和名では弁柄色(べんがらいろ)といいます。沖縄の首里城の壁にはこの色が使われています。
チャイニーズレッド
【Chinese Red】欧米人が連想する中国的な赤で、朱色のような黄みの赤です。硫化水銀を主成分とする辰砂(しんしゃ)という鉱物が原料で、中国の建物にはこの色がよく使われています。古代中国では朱色は高貴な色とされ、家の門を朱色に塗ることは最高の栄誉とされていました。