【すずめいろ】すずめの羽に見られるような赤みの茶のことです。江戸時代には茶が流行したことから、雀茶(すずめちゃ)という呼び名も生まれました。ところで「雀色時(すずめいろどき)」という言葉をご存知ですか?これは夕暮れ時のことを表す言葉なのだそうです。
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鴇色
【ときいろ】日本の色は「草木染めの植物の色」が圧倒的に多いのですが、その中でも、結構いろいろな鳥たちが「色の名前」になっています。こちらは天然記念物の鴇の風切羽にみられるようなピンク色です。
今や特別天然記念物の鴇ですが、江戸時代までは至る所に棲息しており、珍しいものではなかったようです。鴇の風切羽(かざきりばね)に見られるようなピンク色のことを鴇色といいます。
メイズ
【Maize】メイズとはとうもろこしの色です。本当は節分にちなんで大豆色というものがあればご紹介したかったのですが、なぜか日本の伝統色の中に小豆色(あずきいろ)はあっても大豆色がないのです。あらためて考えてみると不思議ですね。
「福は内、鬼は外」と豆まきをした後は、自分の年の数だけ豆を食べる…というのが一般的な習慣です。子どもの頃は「大人は豆をたくさん食べられていいなぁ」と思ったものですが、今では「食べきれない??」と思ったりします。
薄色
【うすいろ】
こちらが薄色(うすいろ)です。紫は平安時代の頃から至極の色とされており、ただ単に「色が濃い・薄い」といえば、紫の色相を示すことになっていたのです。
濃色
【こきいろ】
なぞなぞ→濃色、薄色?…これは何色のことでしょう?
こたえ→紫のことです。
紫は日本の色の歴史において特別な色です。直接の理由としては、聖徳太子が定めた冠位十二階の制において、最も高位の色だったからだとされています。昔は「色」といえば「紫」という感覚があり、濃色(こきいろ)といえば紫の濃い色。薄色(うすいろ)といえば紫の薄い色ということになっていたのです。
秘色
【ひそく】
なぞなぞ→秘密の色ってどんな色?
こたえ→青磁色(せいじいろ)またの名を秘色(ひそく)
青磁は中国・唐の時代に初めて製造された磁器です。時の天子に献上された非常に貴重なものであり、臣下は使用を禁じられていたそうです。青磁が日本に伝わったのは平安時代ですが、その際「秘色(ひそく)」という呼び名もいっしょに伝わってきたと考えられています。
縁の色
【ゆかりのいろ】
なぞなぞ→「○○氏、ゆかりの地」などという言葉は聞いた事があると思います。では、ゆかりの色ってどんな色?
こたえ→江戸紫(えどむらさき)またの名を縁の色(ゆかりのいろ)
古今和歌集にある歌から、武蔵野に自生する紫草で染めた紫(江戸紫)のことを縁の色と呼ぶようになりました。「紫のひともとゆゑに武蔵野の草はみながらあはれとぞ見る(詠み人知らず)」意味としては、紫草がたった一本(ひともと)生えている縁(ゆかり)だけで、武蔵野の草がみな愛おしく感じられる、というものです。三島食品の赤しそふりかけ『ゆかり』は紫のパッケージですが、これもこの歌に由来して色名が決められた経緯があるようです。
謂わぬ色
【いわぬいろ】
なぞなぞ→言わない色ってどんな色?
こたえ→支子色(くちなしいろ)またの名を謂わぬ色(いわぬいろ)
梔子の実から採れる黄色染料で染めた色です。梔子のことを昔は子支と書き表したため、伝統色名としては子支色と書いて(くちなしいろ)と読みます。梔子の実は熟しても裂けないことから、くちなしと呼ばれるようになりました。くちなし→口がないから物を言えない→謂わぬ色(いわぬいろ)という駄洒落のような色名ですが、由緒ある伝統色名のひとつです。
思ひの色
【おもいのいろ】
なぞなぞ→人の思いに色があるとしたら何色でしょう?
こたえ→緋色(ひいろ)またの名を思ひの色(おもいのいろ)
緋色はあかね染めの濃い色です。平安の時代には人を思う気持ち(恋心)のことを「思ひ(おもひ)」と書き表したことから、おもひ→ひいろ→緋色とつながり、緋色=思ひのいろ(おもいのいろ)となりました。またこの色は「火」を連想させることから、燃えるような熱い恋心をあらわすにはぴったりの色だったのです。
シルバーホワイト
【Silver White】文字どおり銀のような白という意味ですが、日本語では「白金(しろがね)」と呼びます。このように、同じ色でも何通りかの呼び方ができるところが色名(しきめい)の面白さでもあります。
色の名前というものは、詳しく知らなくても日常生活で困ることはありませんが、ふとした時に、何かの物事を美しい色名で表現できるという事は、知的なセンスの証になるのではないでしょうか。