《住×色彩6最終回》「松花堂弁当」と「日本の民家の間取り」の共通点とは??
2006.12.23
《住×色彩6 最終回》「松花堂弁当」と「日本の民家の間取り」の共通点とは??
桜「約一ヶ月にわたり、楽しいお話をありがとうございました。自分一人でコラムを書いている時と違い、予想していなかったような話題が次々と飛び出してきて視野が広がりました。今日は最終回ということなので、安松先生のご趣味について聞かせてください。」
安「いろいろなことに興味があって、いつもキョロキョロしているんだ(笑)
でも、昔からずっと好きなのは料理かな。特に今は和食にはまっていてね・・・桜井さん、これ見て!松花堂弁当。美しいでしょ。単純な四角形の中を田の字に区切って、いろいろな小皿で変化をつける。」
桜「松花堂弁当という名称は、江戸時代初期の僧侶の名前から来ていると聞いたことがあります。松花堂昭乗(しょうかどう しょうじょう)という僧侶で、画家としても名を残しています。
昭乗が、農家などで使う種箱(たねばこ)を絵の具入れとして使っていたのを見た吉兆のご主人が、この箱に懐石料理を盛り付けることを考えついたそうなんですよ。」
安「日本の民家の典型的なプランも”田の字”なんだよ。単純な形だから、中をどんなふうにも使えるというところが、松花堂弁当の器との共通点だね。
もともと日本の家というのは、一つの部屋をいろいろな用途に使っていたんだ。あるときは食堂、あるときは居間、客間、寝室・・・。中をどう使うかは、使い手が決める。」
桜「今は住宅の間取りも西洋化していますから、松花堂弁当の発想は、みんなが忘れかけている感覚かもしれませんね。」
安「実は、この松花堂弁当の器を持っていて、家で時々使っているんだ。食卓が楽しくなるよ。」
桜「先生はかなり本格的にお料理をされるんですね・・・」
安「このおせち料理は、僕が作ったんだよ。
おせちも小さい限られた四角形の中に、いろいろな料理をどう美しく詰めていくか、この空間をどう使うかを考えるのが楽しいんだ。毎年12月になると、インテリアのプランを考えるように、おせちのスケッチを描いたりしている(笑)」
桜「きゃ〜奥様がうらやましいです!私は12月になると、今年はどれを作って、どれをデパートで購入しようか・・・それともいっそ、料亭のおせちを購入してしまおうか・・・と考えています。(^▽^)ゞ(恥)」
安「ビールやワインを飲みながら、大好きなエリッククラプトンの音楽を聴きながら、キッチンで作業するのが一番の幸せ!」
桜「では、質問です。おせちとインテリアの共通点は何ですか?」
安「おせちはインテリアに例えるならば”日本的収納”だな。日本的収納っていうのは、大きな器(住宅)の中に小さな器(押入れ)が入り、さらにその中に小さな器(収納引き出しなど)が入るという”入れ子式”だからね。おせちも似ているよ。」
桜「松花堂やおせち料理を、そんなふうに捉えていらっしゃるんですね〜。楽しいです!私にとっては新しい発想です。・・・ところで、このお写真はもしかして・・・?」
安「そう、僕です。一人前にシェフの格好なんかして、その気になってやっています。今、和の作業着が欲しいと思っているところ。(笑)」
桜「ぜひまた、いろいろなお話をお聞かせください。お忙しい合間を縫って、今回の企画にご賛同・ご協力いただき、本当にありがとうございました。」
【2006年9〜10月 記】