【今月のお菓子・3月】菱餅が緑・白・紅(ピンク)の順に重なっているのはなぜ?
2008.02.29
【今月のお菓子・3月】菱餅が緑・白・紅(ピンク)の順に重なっているのはなぜ?
もうすぐ雛祭り。
雛祭りの色といえば菱餅の3色(緑・白・ピンク)のイメージが強いですね。今月のお菓子は『たねや』の雛菓子です。やはり、緑・白・ピンクが彩り良く使われていて、とても美味しそう。
今回は、雛祭りにちなんで菱餅の色の由来を調べてみました。菱餅の由来を調べる過程で、雛祭りの由来も知ることになったので、合わせてご紹介したいと思います。
雛祭りのルーツは、もともと古代中国の上巳節(じょうしせつ)にあります。上巳とは旧暦3月最初の巳(み)の日のことで、この日に川に入って身を清め、禊(みそぎ)を行うという風習がありました。また、邪気を祓うためにお酒を飲んだり、香りの強い草餅【古くは母子草(ははこぐさ=ゴギョウ)入りのお餅、のちに蓬(よもぎ)餅】を食べるという事も合わせて行われていました。
この上巳節という風習と、平安貴族の雛(ひいな)遊びが結びついて、雛祭りの原型ができあがったと言われています。現代でも各地に残る流し雛【子どもの穢れを雛人形に移して川に流す】の風習も上巳節から来ているのですね。
雛祭りのことを桃の節句と呼ぶことがありますが、桃は古代中国で悪魔を祓う神聖な木とされていて、その紅い花には魔除けの力があると考えられていました。
菱餅も江戸時代には草餅の緑だけで作られるか、白と緑の2色でした。そこにピンクが加わって現在の3色になったのは明治時代以降のことです。
ピンクが加わった理由としては、紅がもともと魔除けの色である事に加え、桃の花のピンクを模したものであると考えられています。
■■■■■■■■■■■■ちょこっと色彩学(^o^)【菱餅の色の由来】■■■■■■■■■■■■
【その?】菱餅の色の意味するところは、緑…健康・紅(ピンク)…魔除け・白…浄化。
【その?】紅は桃の花を象徴し、白は地上に残る雪、緑は雪の下に芽吹く新緑を象徴している。
3色が重なっている順序もその通りになっています。
つまり…菱餅の色の順序は【地上には桃の花が咲き、地表には雪が残り、その雪の下には新緑の緑がありますよ】という雛祭りの頃の情景を表すものだったのです!
参考文献
『生活ごよみ』千 宗室/千登三子 監修・講談社
『日本人のしきたり』飯倉晴武 著・青春出版社
たねや 歳時菓ひとくちばなし―上巳の節供―