【今月のお菓子・11月】和洋折衷なお菓子

2008.11.23

【今月のお菓子・11月】和洋折衷なお菓子/『モチクリーム』『とらやのマカロン』

「お菓子にちなんだ色彩学」という、半ば趣味の延長のようなコラム連載も残すところあと2回となりました。思いつきで始めたのは良かったけれど、お菓子の色を色彩学と結びつけるという作業は、時としてやや強引な展開になってしまったかもしれません。

今月も、どんなコンセプトでいこうかと、あれこれ思いを巡らせているうちに今になってしまいました。したがいまして、今月もやや強引な展開になってしまうことをお許しください。

「和洋折衷」という言葉を辞書で引いてみますと【日本風と西洋風とをほどよくとりあわせること(広辞苑)】とあります。

思うに、日本人の色彩感覚というのは「植物染めのにぶい色」や「経年変化により風化・退色した色」を美しいと感じる心と、海外から入ってきたものを広く受け入れる柔軟性とがあいまって、実に懐が深いのです。今日は和洋折衷のコンセプトをかたちにしたお菓子を二つご紹介しますが、その色彩はいずれも「ひかえめ」で「にぶい色」です。

【画像左】は『モチクリーム』というお菓子で、購入すると冷凍の状態で渡してくれます。わかりやすく言えば、自然解凍して食べる洋風の大福。中みは生クリームとフレーバー餡で、その種類もバラエティーに富んでいてユニークです。
例えば…ダブルマンゴー・ももヨーグルト・カフェオレ・アップルパイ・宇治金時・ほうじ茶・黒ごま etc…常時24種類のフレーバーが用意されています。

【画像右】は、とらや(東京ミッドタウン店)で販売されたマカロンです。「Tokyo Midtown Harvest」というイベントに合わせ、2008年9月末〜10月中旬の期間限定で、とらやパリ店のマカロンを取り扱っていました。「異文化の融合」をコンセプトに、和の素材(抹茶・小倉・きな粉・黒胡麻・白胡麻)をフランス菓子マカロンで再現したというもの。
マカロンといえば、その鮮やかな色が楽しいお菓子ですが、こちらは見るからに和洋折衷です。

■■■■■■■■ちょこっと色彩学(^o^)【純色・清色・中間色】■■■■■■■■■■■■
「和洋折衷」を表す色は?
モチクリームのパウダリーでグレイッシュな色あいも、とらやのマカロンのにぶい色あいも、
色彩学では「中間色」と呼ばれます。
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(ここから下はちょっと専門的な話になります)

色彩学独特の色の分類方法のひとつに、「純色・清色・中間色」という分けかたがあります。

?絵の具のチューブから出したばかりの、鮮やかな赤を思い浮かべてみてください。まじりけのない色そのものの状態なので、これを「純色(じゅんしょく)」と呼びます。(世間一般では原色とよばれます)

?赤の純色に白い絵の具を混ぜるとピンクになりますが、これは、赤に白が混ざることによって色が明るくなった状態で、色そのものが濁ってしまったわけではありません。この状態は「明清色(めいせいしょく)」と呼ばれます。

?同様に、赤の純色に黒い絵の具を混ぜると深く暗い色になりますが、これは赤に黒が混ざることによって色が暗くなったのであって、色そのものは濁っていないと考え、「暗清色(あんせいしょく)」と呼ばれます。

?これに対して純色にグレー(つまり、白と黒の両方)を混ぜた場合、たとえそれが少量であったとしても「色が濁る」と考えます。これが「中間色(ちゅうかんしょく)」の定義です。

?「にぶい色・くすんだ色・濁った色」のことを総称して、色彩学では中間色(ちゅうかんしょく)と呼ぶことができるのです。


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