【*^-^*】季節感の演出と日本料理・食の色彩6】

2006.12.23

【*^-^*】季節感の演出と日本料理・食の色彩6】

「日本料理は目で食べる」という言い方がありますが、これは日本料理の繊細な美しさ、豊かな彩りをよく表している言葉です。

私が色彩の勉強を始めた80年代後半は、まだ色彩の専門書など皆無に等しかったので、勉強を続けるにあたってはそれぞれの項目ごとに、色を特集テーマとしたムック本などを手がかりにしていました。

食の色彩に関して今でも大切にしているのは、1986年に出版された『料理の色と形/辻 嘉一 著/中央公論社』(残念ながら絶版)という本です。

辻留といえば赤坂にある懐石料理の老舗。現在は三代目の義一氏が仕切っていらっしゃいますが、料理に合った器を選び、彩りよく、形よく盛り付けることを、それはそれは大切に考えていらっしゃいます。

辻 嘉一氏の記述によると、新年の色は「朱色と金色」。これは、器などに取り入れて季節感を演出するための色という意味です。同様に春は「桃色・桜色・若緑」、初夏は「緑色濃淡」、盛夏は「青磁色・銀色」。秋になりますと「黄色・青色」、冬は「紅葉色・茶色」となっています。

地域によって差はありますが、今ちょうど紅葉がきれいな頃。紅葉狩りの頃のことを昔は「弁当納め」と呼んでいました。【画像:左】はその季節のお弁当の盛り付け提案です。クリックし、拡大してご覧頂くと「盛りばえのする黒のお重」という文字が見て取れると思いますが、まさしく黒のお重が明度対比と彩度対比の効果を発揮し、食材の色かたちをぐんと引き立てています。

弁当納めがあるからには当然「弁当始め」があるのですが、いつだと思いますか?
……これは、桜が満開の頃、花見弁当を携えてお花見に出かける頃のことをいいます♪(^-^q)

コトパラ日記のほうで連載している「和菓子の色かたち」は、今後も変わらず続けて参りますので、よろしければ引き続きお楽しみください。次回は11月の中旬を予定しています。
【画像:右】あるセミナーで「食にまつわる色の話」について話をした時に、自分で作ったボードです。縦70cm・横100cmのわりと大きなもので、パンフレットや雑誌などをコラージュして作りました。

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