おめでたい色1【紅色(くれないいろ)】伝統色×家紋
2007.01.01
おめでたい色1【紅色(くれないいろ)】伝統色×家紋のグリーティングカード
やっと完成しました!!
「おめでたい色」シリーズのグリーティングカードとポストカード。
思えば夏になる前から 試行錯誤を重ねていたのです。なんとか滑り込みセーフで、年始にご紹介できることになりました!
今回から10回シリーズでご紹介する「おめでたい色」は、数ある色の中でも、古くから日本の歴史とともに大切にされてきた「伝統色」と呼ばれるものです。毎回一色ずつ取り上げて、その色にまつわるエピソードをご紹介します。それぞれの色は「家紋に色づけする」という手法で、グリーティングカード・ポストカードとして商品化を試みました。
新しい年の初めに「おめでたい色」をご堪能ください!
新しい年が、みなさんにとってすばらしい年となりますように!
【紅色(くれないいろ・べにいろ)】
日本の代表的な赤のひとつ、わずかに紫みを帯びた濃い赤です。くれないいろ とも べにいろとも読みます。くれないという言葉は、呉(くれ)の藍(あい)、つまり中国の呉の国から輸入された藍(ここでは染料という意味)からきているのです。
あまり知られていませんが紅花の原産地はエジプトや地中海沿岸です。やがてシルクロードを経て中国へ。中国から日本に伝わったのは(諸説ありますが)およそ5世紀頃とされていて、万葉の時代には すでに染料や薬用として使われていたことがわかっています。
紅花は【画像:中央】にあるように黄色い花です。紅花で赤を染めるためには、まずこの黄色素を水で洗い流し、その後 木灰水などのアルカリ性溶液で赤色素を抽出します。抽出後、今度は酸を加え、抽出した赤色素を繊維に定着させるという非常に手間のかかる作業をしなければなりません。
万葉の歌人たちは紅色に自分の恋心を託して歌を詠みました。
平安の人々にとっては、紫とならぶ 憧れの色だったようです。
江戸時代には「紅一匁(べにいちもんめ)は金一匁(きんいちもんめ)に匹敵すると言われるほど高価なもので、一般庶民には縁遠い色でした(※注1)。
今では山形県の特産物となっています。
※注1 一斤染め(いっこんぞめ)という名をもつ 淡いピンク色があります。これは わずか一斤(いっきん…約600g)の紅花で絹一疋(いっぴき…約2反)を染めたもので、一般庶民が着用を許された紅花染めの色でした。ご覧いただいているような濃い紅色は「禁色(きんじき)」と呼ばれ、一般庶民が身に付けることは禁じられていました。
【家紋について】
(大きな家紋名称)陰八重向こう梅 (小さな家紋名称)捻じ向こう梅
梅の紋には実にさまざまな種類がありますが、天神さまと非常にご縁の深い紋です。
学問の神様 菅原道真が梅の花を好んだことから、菅原道真を祭る天神さまでは、梅に関係した紋が使われています。京都の北野天満宮、福岡の大宰府天満宮、東京の湯島天神などはその代表といえます。
※日本伝統色に関する本はたくさん出ていますが、私は色名に関しては福田先生のものを特に愛読させていただいています。染色では吉岡先生のものがおすすめです。