画家の色づかいと建築家の色づかい■▲●赤・黄・青の話〈4〉
2008.04.23
ご無沙汰しておりました。
「最近コラム更新していないなぁ…」と気になりつつ日々の業務に追われ、気付けばゴールデンウィーク間近(@_@)
赤・黄・青の話は次回〈5〉を最終回として予定しておりますが、今月中にアップさせて頂く予定です。不定期な更新で、いつも申し訳ありません。お時間のある時、時々見にいらしてくださいね。
画家の色づかいと建築家の色づかい■▲●赤・黄・青の話〈4〉
〈2〉で触れたように、デ・ステイルにおいては「画家と建築家の協働」という試みが繰り返しなされました。今で言うコラボレーションです。一つの作品に両者が関わる事で、生活と芸術の統合を目指したのです。
ところが、画家と建築家では本質的に物事の捉え方・考え方に違いがあり、その過程では価値観の違いから意見が対立することも少なくなかったといいます。
もちろん「色の扱い」に関しても、両者の間には決定的な違いがありました。
レッド&ブルーチェアやシュレーダー邸の作者、リートフェルトはこんな言葉を遺しています。
「画家の媒介は色であり、建築家の媒介は空間である。もし建築家が色を使うならば、彼は空間を供給するために使う。(中略)建築家は、画家がそうであるように面を要するが、建築家は、面が投射光を反映し、そうして空間を視覚的にし、採用された材料によってその反映の結果として光が視覚的になるというやり方において、空間を限定するためにそれらを必要とするのである」
「画家にとって壁は画家の表現のために使うものであり、それは壁を空間的境界とみなす建築家とは異なる」
シュレーダー邸はデ・ステイルの作品として世界的に有名ですが、建物の設計から内部の色彩計画に至るまで、「建築家」であるリートフェルト自身が一人で手がけたものです。
デ・ステイルが理想とした「画家と建築家の協働」ではない作品が最も名を馳せることになるとは、何とも皮肉なものです。
身近なところに話を戻し、私たちが色彩について学ぶ場合、とかく目の前にある色の組み合わせの良し悪しだけに目を奪われてしまいがちです。が、時にはもう少し大きなスケールで、色を捉えてみると面白いのではないでしょうか。
人それぞれの職業や環境、ライフスタイルによって「色の扱い」が異なっているに違いありません。